こんにちは!以前に、たんぱく質不足による筋量低下の記事を書きましたが、実は一方で、たんぱく質の過剰摂取は腎臓に悪い、という説があったりして時々聞かれます。マウスの実験によるエビデンスがあるのですが、普通の生活ではありえない摂取量による測定なので、ちょっとなぁ・・・、というデータなのです。実はこの問題、今年になって決着がついたようなのでこちらでお知らせしておきます。
■健康寿命を延ばすにはたんぱく質!
2022年2月の「Geriatrics & Gerontology International」に掲載された、大阪大学大学院医学系研究科総合ヘルスプロモーション科学講座、森ノ宮医療大学の関口敏彰氏らの研究による論文があります。これによると日本人の高齢者(61歳~91歳)の被験者1160人の測定で、たんぱく質の摂取量による腎臓障害は発生しないことがわかったということです。
むしろ、たんぱく質を多く摂った群の方が腎臓の保護機能が改善。おまけに摂取量が少ない群は体重の減少が見られ、「フレイル(要介護予備群)」の診断基準に当てはまる割合が50%近くに上るのに対して、摂取量の多い群ではわずか4.8%に過ぎないという結果も現れました。これはもう、健康寿命を延ばすにはたんぱく質を摂るべし、と言えるでしょう。
■体重×1gを摂っていても不足!要介護予備群率50%弱
因みに被験者は4つの群に分けられ、第一群はおよそ体重×1g(体重50kgの人なら50gを摂取)、第二群はおよそ1.3g、第三群は1.5g、第四軍は2gを摂取しています。このうち体重減少が大きく、要介護予備群と診断される可能性が高かった第一群と第二群です。高齢になると体重×1.3gでも不足してしまうという驚きの結果です。
たんぱく質を50g摂取するというのは、お肉を50g食べたらよいというわけでありません。豚肩ロースなら100gあたり約17gだけがたんぱく質。鶏もも肉なら19g、和牛サーロインなら約11gしかありません。かなり意識して食べないと十分な摂取量にはならないということですね。
■日本人の高齢者に限った調査ですが・・・
今回の調査は61歳~91歳の日本人に限ったものなので、エビデンスとしては、全人種の全年代に当てはまるとは言い切れません。しかし、若年層の方が腎障害リスクが高くなるということは考えにくいので、一旦はこの調査で心配はないということにしてよいのだと思います。
それよりもむしろ、厚生労働省の基準通り(体重×0.75g)にたんぱく質を摂取していても要介護予備群に入ってしまう可能性が高いということが驚きです。年齢を重ねたら意識定期増やすのではなく、30~40代のうちから不足しないように気を付けたほうがよいですね。
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